一発合格者の方の中から、合格体験記をご執筆してくださった方9名を掲載しています。
どのように講座を利用し一発合格を勝ち取ったのかが詳細に記載されていますのでぜひご覧ください。
※このページでは合格者のお名前はイニシャルとし、顔写真は不掲載としました。
※体験記の原文は辰已の司法書士試験合格体験記『合格の形』に掲載されています。
H.Iさん
はじめに
自転車は用意します。しかし、それだけでは自分の脚で走っている他の受験生に負けてしまいます。漕いでください。
この言葉はガイダンスで松本講師が仰っていた言葉です。
私は受験勉強をしていた約1年間できる限り全速全開で漕いでいました。何度もタイヤがパンクし、チェーンが外れた事もあります。そこで辞めるのも一つの選択肢。しかし、それでも立ち上がり最後まで諦めず漕ぎ続けた結果、今こうして合格体験記を執筆させていただいています。
よろしくお願いいたします。
私は大学4回生の時に就職活動をするか司法書士を目指すか悩み、結果として司法書士試験を受験する事に決断しました。
司法書士を目指し始めた理由としては、大学は法学部に入学したという事もあり、漠然と法律に興味を持ち始め、何か法律に携わる職に就きたいと思い調べていく中で、司法書士という資格を知り受験資格もなく、すぐに受験できるということだったので受験しようと決めました。
私はリアリスティック松本基礎講座が開講する2021年の5月頃から勉強を始め、2021年の7月にお試し受験を受け、2022年の本試験で合格できました。
私の取った勉強法
私が司法書士試験の受験を決めた時は大学在学中という事もあり、勉強時間は一般的に司法書士試験に必要である3000時間より多く勉強する時間を確保できる目処がありました。まず、2021年のお試し受験の段階で全科目戦えるよう5月から先に発送していただいたテキストを予習しながら勉強していました。
しかし、お試し受験では午後択一で基準点に届かず不合格と呆気ない結果に終わりました。
お試し受験後の2021年7月から大学卒業までは大学の講義を受講しながら司法書士試験の勉強を継続し、大学卒業後から本試験の2022年7月までは専業受験生として勉強を継続していました。
私は人より多く勉強しなければ、人並みのレベルに到達できないタイプと学生時代に思い知っていたので、本試験までにテキスト50周、過去問20周前後読み、解いていました。テキスト50周といっても、全て読んでいるわけではなく見出し、小見出し、講義内で松本講師が下線を引いた箇所、表を読み、他の箇所は講義で扱った時以外は読むことはなかったです。テキストを50周も読んでいれば本試験でどのような問題が出てもテキストに記載されている知識で有れば答えることができていたので、特に焦ることもなく本試験に挑むことができました。
また、私はリアリスティック基礎講座の他に模試や答練も受講させていただいていたので、直前期からは模試や答練で択一や記述の演習をしていました。直前期に大体自分がどのレベルにいるのか判断するにはいい材料であり、記述の添削により、具体的な記述の点数も把握できました。
勉強法(択一)(インプット)(アウトプット)
司法書士試験は民法、不動産登記法、会社法(商法)、商業登記法の主要4科目に加えて、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法、憲法、刑法のマイナー科目の計11科目が択一で出題され、膨大な量を暗記していく必要があります。特に不動産登記法や商業登記法は記述にも出題されるため、より対策する必要がありました。
リアリスティックの講座ではテキスト11冊に加え過去問16冊、記述の解法本2冊を勉強する必要があり、暗記する事項が沢山ありますがリアリスティックの講座を受講すると講座内で松本講師が語呂合わせやテキストに下線を引くといった暗記の補助となる工夫が沢山あり、実際暗記には思ったより苦労はしなかったと思います。
特にテキストに下線を引くといった工夫はとても役に立ちました。記憶すべき箇所には赤、理由付けには青といった感じで下線を引いていくのですが、後に復習する際は赤の下線と青の下線を読むだけで理解が可能になるよう下線を引いていってくださるので、下線を引かずにテキストを読んでいたお試し受験の前の段階より遥かに効率が上がりました。
また、過去問も非常に充実しており、令和、平成の肢以外にも昭和の肢も問題集に収録されていたので、本試験で過去問出題肢を失点する可能性が低くなり心強いです。受講生専用ブログでは過去問の肢がテキストのどのページに記載されているのか随時更新されていくので、過去問で間違えた箇所をテキストで探すといった手間なく過去問を解き続けるとこが出来ました。
勉強法(記述) (インプット)(アウトプット)
記述が不安な方は多いと思います。私もそうでした。仮に択一が午前、午後双方で105点満点を取ったとしても記述を枠ズレして足切りにあえばその時点で不合格です。どれだけ対策していても、この枠ズレの恐怖は本試験の記述を解く時まで続くと思います。
枠ズレをしないためにも、記述の解法をマスターすることは必要ですので、私は松本講師の解法に従い、自己流をほとんど加えず完全コピーしていました。
私は模試を10個ほど受験しましたが枠ズレしたのは1回のみです。この1回は論点すらわからない問題でしたので、解法の問題というより、自分の知識不足で生じた枠ズレでしたので解法さえ身につけば枠ズレの可能性は限りなく低くなります。
しかし、枠ズレをしなかったとしても雛形を暗記していなければ話になりません。この対策は講座の特典である雛形シャドーイングで解決できます。毎日、ご飯を食べながら、お風呂に入りながらといった何かしながら雛形シャドーイングを聴くことによっていつのまにかテキストにある雛形は覚えれていますので雛形が覚えられないという不安は解消できます。
本試験当日
本試験当日は雨で7月にしては肌寒かったことを今でも記憶に残っています。また、本試験の受験会場はお試し受験の時と同じ会場で会場にたどり着けるのか。といった不安はなかったのは幸いでした。
私は本試験が始まるギリギリに会場に行き、2022年度受講生は無料で受講できた「Cランク判例・先例で帳尻合わせ講座」のレジュメを10分ほど確認して午前の部を受けました。模試と同様、憲法→民法→刑法→会社法(商法)の順番で解き、全肢検討して問題を解いていたので午前の部が終わった時点で33/35はあると実感していました。結果34/35と自己予想と大差ない点数でしたので時間のある午前の部は全肢検討することによって大体自分の点数を把握しておけるので、全肢検討をおすすめします。
午後の部が始まる前に模試の記述でよく間違える論点(ex所有権移転or持分移転or 共有者全員持分全部移転)をまとめていたルーズリーフを眺めてサンドウィッチを食べていました。
そして午後の部が始まり、松本講師のおすすめの解き方である供託法から民事訴訟法に下がっていく順番で問題を解いていきました。
午後の部は択一35問、記述2題を3時間の中で解き終える必要があり時間に追われることが予想されるので択一は午前の部の解き方のように全肢検討はせず、軸となる解きやすい肢を判断し、組み合わせを使いながら解いていきましたが、令和4年の問題は比較的解きやすい問題が多かったおかげか35分前後で択一が解き終えました。記述には各1時間を予定し、不動産登記法→商業登記法の順で解いていきました。不動産登記法は珍しく不動産が4つ出てきたので少し驚きましたが、内容はそこまで複雑な問題ではありませんでした。枠ズレ論点も名義変更登記や数次保存といった論点で時間をかけ、落ち着いて考えれば比較的判断ができるような論点でしたので、択一で余った時間を存分に使い1時間10分程度で解き終えました。
最後に商業登記ですが、問1、問2のいつも通り株式会社の役員変更や株式関係の論点が出題され、想定内の問題でしたが、問3、問4は記述の過去問では出題されておらず、想定を超える合同会社の登記に関する問題でした。合同会社と見た瞬間、株式会社に組織変更する問題と思いきや、普通に合同会社の業務執行社員の変更登記等が問われて面食らいましたが、リアリスティックテキストには合同会社の登記記録や雛形が掲載されているため、焦る事なく、記憶を辿りながら、解いていきました。大体、商業登記は50分程度で解き終えたため、残った時間は択一のマークミス、雛形の漢字ミスの見直しをして過ごしました。
後進へのメッセージ
私がこの合格体験記を執筆しているのは11月中旬です。残り4ヶ月強で直前期、7ヶ月強で本試験の時期です。
まだ思うように勉強出来ていないという方も合格の可能性は十二分にあります。
そして、今の時期はインプットで毎日毎日テキストを読み、同じ日々の繰り返しで気が滅入る日も多いかと思います。しかし、インプットなくして司法書士試験には到底合格は出来ません。合格者は全員この辛い期間を乗り越え、合格していると私は思っています。たくさんの事を犠牲にしてやっと合格が見えてくる試験に皆さんは挑戦しているということです。多少の知識と運だけでは到底合格までには辿り着けません。
人間は自分に都合の良い情報を鵜呑みにし、都合の悪い情報を排除する確証バイアスという特徴を持っています。
“運良く短期間で一発合格できた”という言葉の裏には短期間で私たちの想像を超える時間を勉強に費やし、全てを犠牲にした上で頭の良い方が必然的に合格している可能性があります。しかし、“運良く短期間で一発合格できた”という言葉を鵜呑みにして、数ヶ月で合格できるならまだ勉強しなくていいか。なんて考え勉強を疎かにすると普通に不合格になりますので、他人の合格体験記の都合のいい部分だけを鵜呑みにすることには注意が必要です。
最後にこの体験記を見てくださっている方の中には、司法書士試験の合格率や他資格との難易度の差、勉強時間等を調べ、来年度の合格を目指して既に勉強もたくさんいらっしゃるかと思います。おそらく、この試験に挑戦する事は人生の中でも大きな決断だったかと思います。
司法書士試験の受験をするという大きな決断をした過去の自分を裏切る事のないよう本試験までの残り時間、最大限勉強してください。皆さんの合格を心よりお祈りいたします。
最後に
末筆ではございますが、松本雅典講師、辰已法律研究所のスタッフの方々、私を支え、応援してくれた家族、友人本当にありがとうございました。どれか一つでも欠けていたら合格はできなかったと思います。
拙い文章ではありますが、最後までお読みいただきありがとうございました。
K.Kさん
はじめに
私が司法書士試験を目指そうと思ったきっかけは、新型コロナウイルスによる自粛生活がきっかきでした。私はもともと司法書士の業務に関係する職種に就いており、司法書士の業務についてある程度の知識はありましたが、フルタイムで仕事をしていたこともあり、難関資格である司法書士試験の勉強時間を確保することは難しいと考えていました。しかし、自粛生活により、休日などにまとまった時間を確保できるようになったため、司法書士試験の勉強について検討するようになり、市販されている司法書士試験対策関連本にいくつか目を通しました。その中で、松本先生の、リアリスティック不動産登記法のテキストに魅力を感じ、講座を受講しようと決めました。また、辰已法律研究所の講座は、すべてオンラインで受講することができるため、フルタイムで働いている私には取り組みやすいと考えたことも理由です。
私のとった勉強法
オンラインの講義は、自分の都合に合わせて受講できるのが利点ですが、忙しいからといって受講を先送りにしてしまうと、結局最後まで受講できずに終わってしまうのではないかと考えていました。そのため、まず、勉強するにあたって、スケジュール通りに講義を受講することを最も心がけました。リアリスティック基礎講座は、週に9時間分の講義が配信されるため、平日は毎日1時間分の講義を聞き、週末に残り4時間分の講義の受講と、復習と過去問を解くと決めました。そして、必ずそのスケジュールを守るようにしました。松本先生は、講義の各回の終わりに、今回解くべき過去問の番号を必ず教えてくれるため、講義の受講スケジュールさえ決めれば、必ず期限までにすべての講義の受講と過去問を解き終えることができます。そのことが、勉強スケジュールの管理にとても役立ちました。また、受講生専用ブログは、過去問を解く際の考え方を習得するのにとても役立ちました。また、司法書士試験は試験範囲が膨大なため、講義を受けるに際しては、単に暗記するだけでなく、理由を理解することが重要だと考えていました。松本基礎講座では、メールでの質問システムがあるため、講義で理解できなかった部分があった場合は、メールでの質問も積極的に利用しました。
択一
22年の3月までは、基本的に、講義を毎回聞いて指定された過去問を解く、という作業の繰り返しでした。過去問を1問解くごとに、受講生専用ブログの解説を必ず見ていました。ブログにはテキストの該当ページが必ず書かれているので、もう間違えることはないと自信を持てる問題以外は、必ず該当ページを見返すようにしていました。時間については、テキストを見直す時間も含めて1問10分以内とするように決めていました。午後の択一科目については、本番の試験では、全肢見ることができない場合もあると思いますが、勉強の際には全肢確認するようにしていました。4月以降については、まず、午前科目と午後科目の初回の答練を1回ずつ受けました。そこで、民訴法、民事執行法、民事保全法などの午後のマイナー科目の実力が足りないことがわかったので、まずは、苦手科目のテキストの読み直しと過去問の解き直しを行うことにしました。本当は、すべての科目について過去問の解き直しを行いたかったのですが、フルタイムで働きながらでは、おそらくそれは無理だろうと考えていたため、苦手科目を重点的に行うことにしました。結局、民法と不動産登記法の一部の過去問については、解き直しを行うことはできませんでした。演習については、勉強が不十分な状態で何度も受けてもあまり効果がないと思い、午前と午後各2回ずつにとどめました。ただし、現在の実力を把握するためにも、講義を一通り聞き終わった状態で、1度は受けておいた方が良いのではないかと思います。
記述
記述の問題演習を行って、解説の講義を聞く以外は、特別な勉強は行いませんでした。記述において、択一よりも細かな知識が必要になることはないと思いますので、テキストを理解していれば十分だと思います。ただし、記述については知識があるだけでは書くことができないので、やはり書くことに慣れが必要だと思います。問題演習については、4月以降にすべての問題をもう一度解き直すようにし、法務省のホームページから過去の記述問題を5年分印刷し、それらについても、1回ずつ解きました。解き直しの際には、特に時間配分に気を付けるようにし、1時間以内にどこまで書けたかということを重視するようにしていました。
模試について
模試は、松本先生のアドバイスを参考に、辰已の全国総合模試を2回と、ほかの予備校の模試を2回受けました。模試の成績については、良いに越したことはないですが、特に初学者の方は、ベテラン受験生に勝てるわけはないので、あまり気にする必要はないと思います。私自身も、模試でA判定をとったことは1度もありませんでした。模試を受験する上で最も大切なのは、時間配分のやり方を身に付けることだと思います。できれば午後の択一は60分以内で終わらせたいところだと思いますが、私は、模試を受けた結果、60分で終わらせることは難しいと感じたので、本番の試験も70分を目標にすることにしました。また、問題を解く順番についても模試を使って決めておくとよいと思います。
試験当日
試験直前に色々なことをやろうとしてもあまり意味がないと考えていたので、試験前日はいつも通りの時間に就寝しました。また、会場についてから試験開始までは、試験場入り口で各予備校が配布している直前の確認事項などを見て過ごしていました。試験中は、とにかく今までの模試の通りに解くことを意識しました。午前の択一については、ある程度できた実感があったので、昼休みは軽く食事をとった後、会場の建物の外を散歩したりして過ごしました。ちなみに、当日のお昼に何を食べるかも、事前に考えておいた方がよいと思います。午後の択一は、民事訴訟法が難しく、不動産登記法でもいくつか不安に感じる問題がありましたが、とにかく、自分で決めた時間である70分で解き終えるように心がけました。不動産登記法の記述は、内容は理解できましたが、すべての小問の最終欄が登記不要となったことが気になっていました。ただし気にしていても仕方がないので、時間が来たらとにかく商業登記法の記述に取り掛かり、商業登記法の記述を時間ギリギリに解き終えて終わりました。
最後に
司法書士試験の難しさは、やはり試験範囲の広さと、合格点の高さだと思います。膨大な知識を覚えるだけの勉強時間を確保する必要がありますし、正確に知識を記憶するため、何度も同じ学習を繰り返す必要があると思います。ただし、やはり私のような兼業受験生の方は、自分が理想とする勉強時間を確保することは難しいのが現実ではないかと思います。そのような場合でも、とにかく、途中であきらめず、すべての講義を受け終えることが大切です。色々な講師の方が仰っていることですが、テキストのすべてを完璧に理解しようとせず、とにかく勉強を進めていくことが大切だと思いますし、時間が限られている方は、特にそのことを意識することが重要だと思います。私の場合は、とにかく苦手科目からつぶしていくことを心掛けました。そして、特に試験当日は、わからない問題があっても絶対に最後まであきらめないでください。本番の試験であきらめてしまったら、すべてが無駄になってしまいます。私自身、自信がなくても、結局正解であった問題もたくさんありました。最後となりますが、皆さんが合格できることを心から祈っております。
T.Sさん
はじめに
私が司法書士試験を目指そうと思ったきっかけは、高校生の頃に法律に興味を持ち様々な法律を勉強してみたかったことや専門職に憧れがあったからです。さらに司法書士試験は受験資格がないため、自分の努力次第で資格をすぐに取れることも魅力の一つでした。私の本格的な受験勉強は令和元年度の旧民法試験が終わったあたりからだったと思います。そこから約二年勉強を重ね、無事に在学中に合格することができました。
私のとった勉強法
まず私が辰已法律研究所の講座を取った理由と致しましては、受験に必要な情報がすぐ手元に届くからです。前半の一年は独学で勉強していましたが、独学だと法改正の情報や教科書の誤植の情報が入らず誤った情報のまま勉強していたことが多々ありました。自分で調べるとなるとそれなりの時間と労力がかかるため独学だと受験勉強以外のことで時間を取られることがありましたが、講座を取ることでそういった手間がなく受験勉強に専念できました。またリアリスティック基礎講座には専用のブログがあり自分の分からないことはすぐに講師に質問ができたのがとても大きかったです。
授業について
令和3年度受験の場合コロナウイルスの影響で昨年の合格発表から次の試験まで約半年しかなかったので、通常のカリキュラム通りに受講しているとまず次の試験まで間に合わないため苦手意識のない科目の講義は飛ばして取捨選択しながら受講していました。オンライン授業だとアーカイブが残っているので自分の得意不得意に合わせて講義を聞きなおすことができるのでとても助かりました。
具体的な勉強方法
択一
基本的には講座指定の教材のみ使用していましたが、憲法のみ問題数が他の科目より少ないので公務員用の問題集を併用していました。教科書を中心に勉強をしていて工夫点としましては、教科書の小見出しをいったんノートに写して二週目以降教科書は一切見ずノートのメモだけを見ながら教科書の内容と記載場所まで思い出すようにしていました。そうすることで知識の精度がより上がり、最終的には何も見なくても教科書の内容が思い出せるレベルにまでなりました。本試験でも選択肢の冒頭を見ただけで教科書の内容と場所まで特定することができ自信をもって答えを出すことができました。過去問は昨年演習をしていたので今年はあまり使いませんでした。結局昨年含めても3周くらいしか演習しなかったと思います。他に択一で意識した点として午前の科目を重点的に勉強していたことです。基準点の推移をみてみると午後の択一は年度ごとにばらつきがあり難易度に差がありますが、午前択一に関しては一定で少なくとも難しくなることはありません。つまり午前択一のほうが安定して得点を重ねることができ、こちらで高得点を取ることができれば午後択一が難しくても問題なく合格点を取ることができます。私はどのようなコンディションでも午前で30問未満にならないように意識して勉強していました。実際に今年の令和3年度試験も午後択一が非常に難しかったですが、午前択一で十分な手応えを感じていたので午後も落ち着いて問題を解くことができました。
記述
問題演習以外は基本的には択一対策と同様の勉強しかしていませんでした。記述も聞かれていること自体は教科書の内容なうえ、普段の勉強から教科書を見なくても内容を思い出せるようにしていたので特に記述に抵抗はなく、むしろ聞かれることは択一に比べて基本的なことばかりなのであまり心配はしていませんでした。基準点を超えるだけなら他の受験生誰もが分かることさえできていれば問題ありません。ただ司法書士試験の記述は問題文が多く注意事項が独特なので記述講座の問題や答練、模試の問題を使って慣らすようにはしていました。結果的に教科書の知識だけで記述の商業登記は35点(満点推定)を取ることができたので、記述は教科書を中心に勉強すれば問題ないと思います。
模試や答練について
答練や模試の成績は良いに越したことはないですがそこまで気にする必要はないと思います。仮にこの成績が合格に直結するならベテラン受験生は存在するはずがありません。あくまで模試や答練は時間配分の練習や記述の問題慣れが最大の目的だと思います。実際私も答練や模試を受けて基準点は超えてはいましたが、トップの成績とかでは全くなかったです。
受験時代のモチベーション
私は学生なので社会人の方と比べると勉強時間が多く確保することができましたが、コロナウイルスの影響で毎日家だったのでメリハリがなくモチベーション維持が課題でした。対応策として通常なら一日の勉強時間や環境を工夫しますが私はあえて何もやりませんでした。つまり勉強したくなったら勉強し、やりたくなくなったら思いっきり遊ぶようにしていました。この方針は直前期も変わらないままでした。やりたくないときに勉強をしても効率が悪いですし本当に合格したかったら自ずと勉強をやると思ったからです。最終的には合格への思いが強かったのと勉強させてもらえることのありがたみを感じほとんど毎日勉強していたと思います。もしモチベ―ジョンで悩むことがあれば無理せず一度おもいっきり遊ぶのも一つの手だと思います。
本試験当日について
私は今年の受験をラストチャンスと考えていました。仮に今年の試験に落ちたら司法書士試験は潔くあきらめるつもりでいたので後悔の無いように勉強してきました。実際これ以上何を勉強すればいいか分からないと言えるくらいまで教科書をやりこみ、これで落ちたら胸を張って不合格と周りに言えるくらいだったので、試験前日は開き直って普通に寝ることができましたし、当日もそこまで緊張することはありませんでした。午前に関しては上述したように30問割ることが無いように勉強しており試験中低く見積もっても31問は取れているだろうという認識だったので午前はそれなりの滑り出しでした。午後に関しては不動産登記法の択一が難しくあまり手応えはありませんでしたが、午前が少なくとも31問取れているつもりだったので25問くらい取れれば記述次第で合格するだろうと思いあまり不安にはならずいつも通り記述を解き始めることができました。記述は不動産登記法が難しく分量が多かったので自信はありませんでしたが、15時になったら途中でも気持ちを切り替えて商業登記法に移れたのが大きかったです。こういう気持ちの切り替えを模試とかで練習しておくと本試験でも慌てることはないと思います。商業登記法は例年より簡単だったので解き終わった段階で手応えがあり基準点は超えただろうという心境でした。本試験を終えた後はとにかく清々しかったのは覚えています。合格不合格は余り気になってはおらず、全力を出し切れたことに満足していました。
最後に
この試験の難しさは試験内容が難しいというより試験範囲の広さと合格点の高さだと思います。いかに大量の知識を正確に覚えられるかが合否の分かれ目であり、いかに基礎知識をおろそかにしないかに尽きると思います。少しくどいかなと思うくらい同じ知識を繰り返し勉強するくらいがちょうど良いです。合格に細かい知識や判例は不要で市販の教材の知識量で合格は可能です。私もリアリスティックの教材で出てくる話しか知りませんでしたが余裕で合格することができました。これから受験される方はつらいこともたくさんあると思いますがあきらめず基礎知識をつぶしていけば必ず合格できます。私の話が少しでも皆さんのお役に立てたのなら幸いです。
T.Sさん
はじめに
法学部在学中に行政書士を、社会人2年目で宅建士をそれぞれ独学で取得し、「次は司法書士かな~」と何となく考えていた程度で、受験を志した当初は正直、「司法書士」の仕事そのものに関心があった訳ではありませんでした。ただ、合格率等々を見て明らかな通り、決して簡単に合格できる代物でないことは分かっていたので、何かしらの通信講座は受けてから臨もう、と考え至りました。低価格を謳う新興予備校から、やや高価ではありつつ信頼と実績のある大手予備校...名前の思いつく予備校には片っ端から資料請求し、その時点での辰已法律研究所に対する印象は、「法律系では聞いたことのある予備校だけど、司法書士試験では新参らしいし、、、一応資料請求しとくか」と、その程度の認識でした。
届いた資料を見て、まずひとつ。「リアリスティック一発合格」の言葉に惹かれました。講座名に「一発合格」を冠する、しかも「リアリスティック」なんて形容詞がついている。一体どんなカリスマ講師なのだろうか...。勝手な人物像を巡らせつつ、パンフレットを開くと、なるほど、経験に裏打ちされた確かな説得力がある。2~3年かけて合格まで持っていければ...という当初の発想は吹き飛びました。この講座でなら、一発合格が目指せる。
資料請求した時点で、2019年の3月。2020年の秋には合格を手にし、2021年には登記実務のスペシャリストとして活躍する自分自身の、具体的なイメージが湧いてきました。「司法書士になる」という”目的”に対して、”手段”に過ぎないはずの「講座」ですが、私の場合、この説得力あふれる『リアリスティック一発合格松本基礎講座』との出逢いが、「司法書士になる」という目的自体を一層魅力的に、引き立ててくれたように思えます。
私のとった勉強方法
〈兼業受験生として〉
フルタイムで働きながらの兼業受験、その時点で他のライバルと同じ心持ちで臨んでは、一発合格など絵に描いた餅であることは言うまでもありません。加えて私は地方在住の通信受講生。そもそも、他のライバルがどういった勉強をしているのかが、見えない環境にありました。
翌年の合格を見据えてどういったスケジュールを立て、どうやってそれを着実に実行していくのか、これに合否の99%が懸かっている。大げさでなく、そう思いました。「兼業受験生だから」と、甘えのあるスケジュール感で臨むのは論外ですが、「兼業受験生だから」と、気張り過ぎて実現困難なタイトなスケジュールを立て、ついていけなくなっても本末転倒です。講座視聴を完遂できずに断念する受講生も少なくないと聞き、「無理なく、計画的に」をモットーに、日常生活と勉強の両立を図っていきました。
〈インプット段階〉
5月スタートコースで、約2週間に1回、5~6コマ分のDVDが送られてきます。順調にいけば、翌年4月(本番3か月前)に全124コマが視聴完了するスケジュールです。まずはそれを溜めずに視聴すること、実はこれだけでもかなりの大変さです。1コマが約3時間なのですが、フルタイム勤務をしながらこの1コマを一気に見るのは、体力的にもかなりしんどいです。というか、一気に見たところで到底頭に入りませんので、限られた時間の中でインプットしていかなければならない兼業受験生としては、そのような進め方は非効率的とも言えます。私は以下のように視聴を進めていきました。
私は、平日と休日で勉強パターンを変えていました。平日には、出勤時刻の1時間半前に起床し1/3コマを視聴、帰宅して就寝前に2/3コマを視聴、翌朝の出勤前に残りの3/3コマと視聴、と、1コマの視聴完了に1.5日をかけ、3日で2コマ、平日のみで確保できる時間の中で、2週間に1度届く講義DVDを消化していくスケジュールにしました。これ、言うほど楽ではないです。何事もなければ20時には帰宅できますが、仕事の関係で遅くなるときもあれば、突然の飲み会や社内研修で結局勉強できなかった日もあります。それでも、例えば翌日の帰宅後はいつもより1/3コマ多く視聴して間に合わせるなどして、2週間に1度新しい講義DVDが届くころには未視聴分が残っていないよう、スケジュールは厳守しました。
休日は、基本的に平日に視聴した講義の復習です。対応する択一過去問を解いたり、ただ線を引くだけで理解できていなかったテキストの部分のDVDを再度視聴したり。平日と異なり、「決まった量をこなす」といった進め方をしない分、柔軟に予定を動かせるよう、平日のようにスケジュールでがんじがらめにするようにはしませんでした。比較的余裕のあるときはテキストを片手に趣味の温泉巡りに出かけたり、ストレスなく勉強を継続できる環境を保てたのは、大きかったと思います。
〈アウトプット段階〉
10月から、2週間に1コマのペースで記述対策のDVDも届くようになります。記述式の問題は1コマにつき2問付属しているので、休日を記述対策に充てて、1週間に1問のペースで解いていきました。このころになると、「勉強癖」とでも言うのでしょうか、平日起床後の1時間弱と帰宅後就寝までの数時間は、勉強していないとどうにも落ち着かない感覚が出てきます。それに対して、講義DVDの記述対策回は休日に視聴するようになったので、平日の講義DVDの視聴ペースに若干の余裕ができていました。この余裕を、テキスト回しに充て始めました。
テキスト回しに着手した時点で、すでに一度講義DVDを視聴し、休日を充てた復習を一応経ています(=インプット段階)。「理解不能」「意味不明」な記述はテキスト上に存在しない前提で、あとは記憶力との勝負です。記憶の定着は、アウトプットを『繰り返す』ことで促されます。松本先生の仰る通り、テキストの一部を隠しながら読んでいき、記憶すべき事項をアウトプットしていくのが理想的なテキスト回しの進め方だと思います。
しかし、それを何周も何周も『繰り返し』定着するまで、机に向かい合って続けていく時間的余裕は、私には無いと考えました。そこで、小さめのホワイトボードとポケットサイズの手帳を使って、この『繰り返し』プロセスを自分の日常生活に合わせてカスタマイズできないかと試みました。「①まずは一度、テキストでアウトプットを試みる→②アウトプットできなかったものを自室のドアに貼ったホワイトボードに書き写し、1日の間、ドアを通る度にアウトプットを試みる→③それでも翌朝時点で覚えていなかったものを手帳に書き写し、通勤の電車内や信号待ちの間、昼食を食べながら等、隙間時間を活用してアウトプットを試みる」、この一連の流れを毎日行っていました。手帳に書き写したもので、アウトプットができるようになってくれば、そのページを切り取って、自室の壁に貼り、週1回程度の周期で見返します。民法、不動産登記法、会社法・商業登記法のテキストに関しては、こういった進め方で4月の講義DVD全コマ視聴完了までに一巡ができました(その頃には、もう自室の壁は貼れるところがないくらい、切り取った手帳のページで埋め尽くされていました)。
4月以降の全コマ視聴完了後は、平日はテキスト回しのペースを上げ(民法、不動産登記法、会社法・商業登記法は計5周しました)、マイナー科目のテキスト回しも開始(計3周ほど)。この頃になると、択一過去問にあまり時間を費やさなくなりました。民法、不動産登記法、会社法・商業登記法と、過去問からの出題が多い供託法は2周解きましたが、その他の科目は1周解いたのみで、基本的にはテキストメインで勉強を進めていきました。
休日は「司法書士オープン」を受講しつつ、記述対策講義の問題をもう1周解いてみるなど、記述式対策をメインに時間を割きました。コロナの影響で試験日程が延期したのもあり、オープンと模試の記述式はそれぞれ2周解き、過去3年分の記述式過去問を1周、他社の模試も1度受験しました。
記述式の勉強について一つ挙げるとすれば、これはあくまで私の場合なのですが、「申請例」は確かに大事な要素ではありますが、その一字一句にこだわって丸暗記に偏重してしまうよりは、「申請の流れ」を理解することが重要であると感じました。実は私、申請例のシャドウイングは殆どやっていません(事例無しで申請例を読み上げるだけでは全く頭に入らず、早々に取りやめました)。一方、テキストに記載されている「事例」と、それに沿った「申請の流れ(1/2として何を申請し、2/2で何を申請するのか)」は、重宝しました。「なぜ先にコレを申請するのか、なぜソレは2番目に申請し、アレは申請しないでいいのか」、オープンや模試、過去問で間違えた箇所についても、そういった「申請の流れ」を重要視した復習を心掛けました。本番でも、登記事項を書き間違えたり根拠条文をド忘れしたり添付書類をすっ飛ばしたりといったミスは“かなり”やらかしましたが、大きな枠ズレは無く、「流れ」をつかめた解答を提示できたことが、得点に繋がったのではないかと思っています。
〈本番〉
ペース配分。これだけです。人それぞれ得手不得手はあると思いますので、積み重ねたオープンや模試で、自分の理想的なペース配分を算出し、それを確実に実行するだけだと思います。例えば、一般的に「憲法は難しいから後回しすべき」と言われますが、私は学生時代、憲法専攻で得意分野だったので、真っ先に解くことで自信を持ったスタートを切れていました。本番、気の迷いで解く順序を変えたり、「あと一分だけこの問の検討を...」とペースを乱すのは禁物です。時には問1問を丸々切り捨てる勇気も必要だと思いますし、私は今回、その勇気を出せたからこそ、合格ラインに滑り込めたと思っています。
最後に
とまぁ、ここまで書いてはみましたが、正直なところ本番直後は、今こうやって合格体験記をしたためることになるとは思っていませんでした。もっと効率的なやり方があったのではないか、もっと勉強の密度を上げることができたのではないか、、、満足とはいえない択一自己採点結果を前に散々反省しましたが、確実に言えるのは、泣いても笑ってもその点数が今の自分の『実力』に他ならないということです。その実力レベルをいかに「無理なく、計画的に」引き上げることができるのか。結果として、一発合格を成し遂げることができたのは、前述のスケジュールを着実に実行できたことが、一番の勝因であったと思います。
松本先生が導入講義で仰っていたことに、この講座について、「自転車は貸します、あとは漕いでください」と例えられています。漕ぎ方を決めるのは受講生次第です。どのくらいのスピードで、どのくらいの力を込めてペダルを踏み込むのか。そのHow toについて、私自身の体験が、司法書士試験合格を目指す皆様にとって少しでもご参考になれば幸いです。
K.Tさん
はじめに
自由に働きたい、専門性を身に付けたい、専門性を生かして社会の役に立ちたい、そんな思いが士業、中でも独立開業のハードルが比較的低い司法書士を目指すきっかけとなりました。司法書士試験の勉強をすぐにでも始めたいと思っていましたが、本屋で目にしたテキスト・過去問集の膨大な量は想像を超えており、まずは行政書士試験の合格を目指し、合格できたら司法書士試験に挑戦することにしました。ほぼ初学者で勉強に取り組み、行政書士試験は3回目で合格することができ、その後司法書士試験の講座をとり、約1年半の勉強期間を経て2回目の受験で合格することができました。司法書士の受験生活では、夫の単身赴任によるワンオペ育児、週3回弁護士事務所にて勤務していたので、家事、育児、仕事と勉強との両立に非常に苦心しました。同じような主婦受験生の方に、私の体験記が参考になれば幸いです。
私のとった勉強方法
平成29年11月の行政書士試験受験後、合格の手応えを感じたので発表を待たず、すぐに司法書士試験の講座を検討し始めました。とにかく早期に合格したいという思いがあり、春から開講している講座を冬から追いかけていき、翌年7月合格を目指す、松本先生の基礎講座の「追っかけチャレンジ」という講座に興味を持ちました。行政書士の受験勉強では、講師の話すスピードが遅いのが嫌で独学を選択した私にとって、松本先生の話ぶりは早いけれども聞きやすく、一度に入ってくる情報量が多く、自分に合っているなと思いました。また効率的な勉強方法を確立されている点、徹底的に司法書士試験について研究されている点に惹かれ、松本先生の基礎講座を受講することに決めました。当時1歳半の息子がいたため、講座は通信(DVD)で受講しました。結局合格までに答練や中上級講座等は一切とらず、基礎講座のテキストと過去問をひたすら繰り返していました。また本試験の時間配分の練習として、直前期に初年度は2回、合格した年度は10回、他の予備校開催分も含め模試を受験しました。
択一対策について
基礎講座のテキストに書かれている内容を、全て暗記する勢いで読み込みました。私は合格した本試験までテキストを11回転させましたが、序盤は全科目、
約4000ページのテキストを一回しするだけで2ヶ月程かかっていました。一回し終わり、また初めの科目に戻ったときに、「あれ、初めてみるような文章だ・・」という状態で、覚えては忘れ、覚えては忘れ、人は本当に忘れる生き物だなと、これほどまでに実感したことはありません。この膨大な試験範囲が、司法書士試験の挫折者を生んでしまうのだと思いますが、この状態になっても、とにかく諦めないことが大切です。私は回数が上がるにつれ、読む速度が早くなり、最後は500ページ程を1日で読めるようになっていました。特に登記法のテキストについては、7回目くらいから、しっかり理解して淡々とページをめくれるようになり、9回目以上になると、目視でページを進めることができるようになりました。私は松本先生の「このテキストに書いてある知識だけで合格水準に達する」という言葉を信じ、それ以外のテキスト等は一切購入せず、手を広げないで集中的にインプットしました。
松本先生のテキストは、単に知識が羅列されているのではなく、制度趣旨まで書かれており、それが記憶を呼び起こすことに役立ちます。また語呂合わせも多く活用されており、膨大な量の暗記を助けてくれました。一番記憶量が多いのは会社法・商業登記法で、特に組織再編、募集株式の発行は混乱しやすい箇所かと思いますが、丸暗記ではなく理由から考え、苦手意識を持つことなくスムーズに覚えることができました。
択一対策のアウトプットは、択一過去問本を活用しました。具体的には、平成元年から28年分の過去問を、1年半の間に5回転し、間違った問題だけさらに追加で解いていました。過去問の扱いについては色々と意見が分かれるところではありますが、合格水準の受験生は、出題実績のある問題は本番で間違ってこないという現状を考えると、自分も最低限その水準には達している必要があるなと思っていたので、私は択一過去問本を活用していました。
記述対策について
不動産登記法、商業登記法の記述を解くにあたり、申請例の雛形を、各120個程度暗記しなければなりませんが、私は申請例のヒアリングと、先に書きましたテキストの読み込みで雛形は暗記しました。松本先生の基礎講座には雛形の申請例と条文の音声データがついているので、私は1人で歩くときは申請例を聞きながら歩いていました。苦手な雛形はなかなか暗記できませんでしたが、大抵の雛形はいつの間にか覚えていました。
記述式問題は高速で膨大な量の情報を整理し、必要な登記申請を構成しなければなりませんが、書類を効率的に処理し、時系列にそって記号で情報を整理していく松本先生の解法のお陰で、いつも比較的早く、楽しみながら記述は解けていたように思います。
記述の演習は別途問題集など購入せず、1年半の間に受けた模試の問題をもう一度、基礎講座で扱った問題を3~4度解き直しました。これらは本試験の予想問題を兼ねているということと、ミスがあるのに新しい問題をたくさん解く必要はないと思っていたので、完璧に解けるまで同じ問題を解き続けました。
合格までの道のり
私は家事、特に育児については受験勉強を理由に手を抜くことはしたくなかったので、育児と勉強を同時にすることはありませんでした。というより2歳児育児も試験勉強も、どちらも同時にできるほど容易なことではなく、必然的に同時にできなかったと言った方が正しいかもしれません。育児にも充分な時間を割きたかったため、睡眠時間を含め、とことん自分自身の時間を削り、また極わずかの隙間時間も勉強に当てました。1日10時間以上の勉強が当たり前になされる司法書士受験生ですが、私は仕事がある平日週3日は4〜5時間、仕事がない平日週2日は7〜8時間(直前期は8〜10時間)、土日は夫が単身赴任中のため主に育児をする必要があり、5時間程度しか勉強できませんでした。まとまった勉強時間は保育園に行っている間か、子供が夜寝た後(土日は昼寝時も)にとっていました。それ以外に自分1人の時は、バス・電車移動時、各種待ち時間、昼食時は、欠かさず勉強していました。時間でノルマを決めず、分量でノルマを決めていたので、常に外出時はテキストか過去問を持参し、テキスト1行、過去問1肢でも多く勉強を進めるぞという気持ちでいました。
ほかに勉強時間の確保について、睡眠時間の調整と体調管理について気を遣っていました。昨年度の直前期に、勉強時間確保のため睡眠時間を削りました。しかし夜中に何度も子供の世話をしなければならない時期で、細切れで4時間程度しか寝れない日が続いた結果、6月の超直前期に蓄膿症になりました。体調を壊すと勉強のパフォーマンスが下がり大変非効率です。その時の反省を踏まえ、今年度は体調に影響がでない6時間睡眠を基本とし、6月以降は5時間半睡眠で本試験まで体調をもたせました。また洗面所、トイレ、キッチンの壁に図表を貼り、歯磨きやドライヤー、料理を作っている合間等に勉強できるようにしていました。わずかの時間ですが1日に目にする機会は多く、苦手な分野の暗記物は大抵この方法で攻略してきました。
とにかく日々時間がなく、テレビは年明けから子供番組を除き見ませんでしたし、美容院にも行っていません。座って休む暇もなく、洗濯物を畳む時と、お皿を拭いている時が、私にとっての日々の休憩時間でした。しかしその分、直前期のGWには家族で旅行に行けましたし、春と秋は、ほぼ毎週末お弁当持参で子供と動物園に行き、それ以外の日も外に子供と2人で出掛け、四季を感じることを大切に過ごすことができました。
今年度の本試験について
午前は点数をかせぐべく高得点を狙って取り組みました。いつも得意の民法親族法から解くことにしていましたが、新しい判例からの出題で1問目から血の気がひきました。しかし午前は時間に余裕があるので、丁寧に全肢検討、見直しも全問行い、終了後は基準点は超えているだろうといういつも通りの感覚でした。午後択一はマイナー科目から解き、商業登記法終了時点では、いつもより早いペースで回答できていましたが、不動産登記法の半ばで異変に気付きました。問題文が異様に長い問、前登記事項や細かい論点を聞いてきた工場抵当の問に、時間をとられた上に正解している感覚が全くありませんでした。記述に取りかからねばならないタイムリミット14時10分がきてしまい、択一1問分解けないまま記述にうつりましたが、模試ではいつも14時前後で択一を解けていたので、いつもより時間がないことに焦っていました。また不動産登記法記述は手間のかかる区分建物からの出題で、「早く書かねば」という思いばかりがつのり、どこか違和感を持ちながら枠ずれを起こしてしまいました。残り50分で商業登記法記述にうつり、得意の吸収合併からの出題で集中力を高め、株主途中退席→相互保有株式による議決要件の計算は、回し続けたテキストのページが頭に浮かび、解けている実感がありました。残り5分の時点で最後の申請の添付書類が書ききれておらず、焦りに手が震えながらもなんとかギリギリ全て書ききることができました。結果午後はマイナー科目、商業登記法の択一で得点できており、記述は枠ずれ以外は概ねできていたこともあり、合格点にのせることができました。模試よりも本試験のほうが、容赦がない出題だったように思います。また本試験でも最後まで諦めないことが大切です。
最後に
振り返ってみると受験生活は辛かったなと思います。しかし本屋で行政書士試験の参考書を手にとってから今まで、一度も勉強が嫌だと思ったことはありません。いつも勉強時間がとれないことが嫌でした。必ず合格する、そのために勉強は必要不可欠だからです。その根底には司法書士になりたいという思いがありました。司法書士試験の受験勉強は諦めたくなるタイミングが何度もきます。そこを突破できる思いがある方なら、いつか必ず結果が伴ってくると思います。
合格発表の日、合格の自信があったわけではなかったのですが、ここまでやった結果を見届けようという思いで、1人で法務局まで発表を見に行きました。法務局に向かって歩いている時、職員の方が16時ちょうどに紙を貼り出した時、自分の番号を探している時、立っているのがしんどいくらいなんとも言えない気持ちでした。そして自分の番号を見つけた時、「あった!」と声をあげ、努力が報われたことがとてもとても嬉しかったです。この日の気持ちを是非皆様にも味わって頂きたいです。熱い思いをもった受験生の皆様が、次の本試験で合格されますことを、心より祈念しています。
T.Mさん
はじめに
私は法学部出身でも、実務の経験者でもありません。全く実際の業務の中身を知らないままで受験をするのは大変不安でした。しかし、司法書士試験受験に至るまでの間、いくつかの法律系士業の資格を取得してきたこともあり、どうせなら司法書士試験にも挑戦してみたいと考えて受験を決意しました。周りと比較して少し遅めのスタートとなり、勉強期間は10か月足らずで、ほぼ専業にも関わらず本試験日まで大変忙しい日々だったと記憶しています。勉強しなきゃ!という意識はほとんどないまま、気が付いたら本試験日が来ていたかのようでした。一回目の受験で合格できたのは、ある意味で程よく忙しかったのが要因の一つかもしれません。
辰已の受講講座
試験日まであまり日がなかったため、ネットで予備校を検索していくつか候補をしぼり、最終的に講師の提唱する学習方法や無料の講義映像での話し方を見て松本先生の講座に決めました。いままで辰已法律研究所を利用したことはなかったため、かつて利用していた某大手予備校の講座の利用を検討していました。なじみのある通信講座でのインフラがそのまま使えると考えたためです。しかし、かつて自分が他の法律系士業の資格の勉強で思い出し方を集めるのに苦労したのを思い出し、必要な理由付けが講義内でふんだんに提供されるリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講を決めました。
択一式対策
私の場合、民法と会社法に関しては一通り学習経験があり足りない知識や改正点を補いつつ、かつての勉強を思い出しながらリハビリするといった風でした。したがって、学習初期の民法のインプットの段階では負荷が足りないと考えて、松本先生が指示される学習以外に「司法試験・予備試験と司法書士試験で重複する科目」については司法試験と予備試験の10年分の過去問題集を購入して、毎朝20問ずつくらい解いていました。こういった学習方法はあまり聞いたことがないので自分でもイレギュラーだなとは思っていましたが、問題の傾向が微妙に異なるので大変新鮮で、よい眠気覚ましになりました。ただし、あくまで目指しているのは他でもない司法書士試験合格であって、それ以外の何物でもありません。松本先生のおっしゃる「講義を聞き終えなければならない時期の終期」でこの過去問題集については封印しました。以後合格まで手を付けていません。結局、憲法の問題集については開くことさえなく新品同様、刑法についても司法書士試験とはかけ離れていると思われる学説問題をすっ飛ばし、一周できずに終わりました。民法と商法(手形法関連を除く)については3周ほど、民事訴訟法は一周しました。「で、役に立ったの?」と聞かれると答えに詰まりますが、自信がついたのは確かです。上記以外の学習はほぼ他のリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講生の方と変わらないと思います。テキストに基準をおいて司法書士試験の過去問を解きながら思い出し方を含めテキストをアウトプット。いままでの学習ではアウトプットでごり押ししていたことの多い私にとっては初めての方法論でしたが、効果てきめんだったようです。
記述式対策
不登法に関しては普段のテキストのアウトプットの周回段階で自分が作問者ならどんなストーリーを作るかを意識した読み方を心掛けました。本試験での連想が早くなるよう答練や模試でのひっかけ方を頭の中でリストアップして、できる限り登記記録を答案構成用紙に書き写しながら別紙のナナメ読みする段階で問題の中核部分に気が付けるようにしていました。
別途ひな型を覚える作業をされる受験生の方が多いようですが、私の場合はシャドーイングに加えてイレギュラーな箇所、例えば所有権保存の登記の抹消で登記識別情報と印鑑証明書が必要ですが、そういった部分のみ蛍光ペンで目立たせて意識するだけにとどめました。講義中に書き込んだもの以外にも、復習時に自分で書き込んだメモも多いです。結局のところ、申請書のひな型は一定のルールにのっとって原型を変形させているにすぎないためです。あまり暗記に走らなかったせいか、記述式の問題を解くのは割合楽しんでました。辰已のオープン総合編の答練は作問者が責任担当制で毎回入れ替わるため、記述の問題も十人十色で飽きずに解くことができました。
商業登記法に関しては、どのように登記できない事項を問題に組み込んで出題してくるだろうか、という点を常に意識しながらテキストでアウトプットしていました。不登法とは違い、ひな型を変形させるという方法は使えないので、添付情報の使い分けを覚えるのに若干苦労しました。松本先生の講座では組織再編のところの添付情報の覚え方をはじめ、知識の整理の仕方が教えてもらえるため、丸暗記せずに済んだのはよかったです。登記の事由の書き方で紛らわしいものを直前に確認したくらいで、申請書を書きまくるような対策はしませんでした。
ひとつ記述式に関して後悔していることがあるとすれば、ボールペン選びでしょうか。私が使っていたボールペンが持つ部分が固く、長時間持っていると腕が痛くなるようなものでした。ボールペンは高価なものではないので、色々と試してみることをお勧めします。
本試験当日
本試験会場は某大学で机は長机、席は前のほうになりました。この試験に限らず資格試験は、会場の机が長机かどうかが極めて重要です。事務処理スピードに差が出ます。司法書士試験では死活問題です。願書提出段階で会場がわかる場合には、可能なら長机の会場かどうかは念のため事前に調べたほうがよいかと思います。私はたまたま長机の教室が当たりました。
試験官は法務局の職員だと思われます。他士業だと各団体が試験事務を行っている場合が多いので多少面喰らいました。成績通知を受けたいなら当日に配られた封筒に名前と住所を書くというのも初めてで驚いた覚えがあります。当然には通知してくれないのですね。
私は本試験直前で副鼻腔炎になってしまい、当日も薬を飲んで試験に挑みました。花粉症の方ならわかると思いますが、のどがやたら乾くクスリです。おかげでパフォーマンスは最悪に近く、試験中は結構な頻度で水分補給していたと思います。直前期の免疫力が低下してる際、模試を会場受験するために東京へ来たタイミングでうつされてしまったみたいなので、体調面にもっと気を遣えばよかったと心底悔やんだ覚えがあります。
午前の部は民法がやたら簡単に思えて、どこか勘違いをしているのではないかと怖くなった覚えがあります。一方、会社法では勘で答える羽目になった問題が数問あり、難易度が高い印象を受けました。刑法では、民法の講義の胎児の権利能力のところでテキストに書き込んだ一部露出説に関する出題があり救われました。
午後の部は民事訴訟法から解き始めましたが、難易度が高く出鼻をくじかれた格好になりました。再審の問題は全く分からなかったので鉛筆を転がしました。登記法は簡単なものもあれば、あまり見かけない問題もあり、記述に入る前に数問見直してマークを塗りました。
不動産登記の記述は登記記録から見ていきますが、登記記録上に地役権があることに気づき若干パニック。しかし蓋を開けてみれば申請件数を間違いようのない内容で、地役権はあまり関係ありませんでした。実際にかなり細かい論点での勝負になったようでした。商業登記の記述はまさかの清算株式会社からのスタート。「去年の続きかよ!」とひとり心の中で突っ込みを入れながら答案構成をしていました。答練などで会社継続の論点を扱うものは少なくあまり書いた経験がないため、本試験中不安でした。また、社外監査役の社外性を満たしているかの判断を求める記載があり、思わず筆が止まってしまいました。登記できない事項の判断も含め、不動産登記よりは難易度の高い内容でした。
後進へのアドバイス
勉強を時間で測ることからなるべく離れることをお勧めします。時間をものさしにしてしまうのは、言われないと勉強できない小中学生の勉強です。できれば、空いた時間を勉強に充てていたら気が付いたら就寝時間、くらいが理想です。私は勉強の記録を後からつけるのではなく、あらかじめ予定を前日以前にたてておいてそれをつぶしていくやり方が効果的でした。単にダラダラ勉強して学習した気になってしまうことを避けることができるだけでなく、計画からずれている学習は何かが一目でわかるようになります。
最後に
どのような経緯でこの資格を目指すことになったかは人それぞれだと思います。それと同時に、どのような環境で勉強できるかも人それぞれです。来年度以降の受験生が自身の実力を最大限発揮できることを祈ります。
T.Hさん
はじめに
漠然と受験を決意しました。
司法書士試験は合計2回受験しました。
1回目は、別の予備校で基礎講座を受講し約半年間勉強しましたが、結果は合格ならず。「来年は受かる」と言われそのまま中上級講座を薦められましたが、直観的に「無理だな」と思いまた基礎から勉強し直すため再度予備校巡りをはじめました。名古屋校に行った際に応対してくれたスタッフさんに心地よさのようなものを覚え、そのスタッフさんの紹介の中にあったリアリスティック一発合格松本基礎講座の受講を決めました。
勉強法全般
重視したことは以下です。
・先生の指示に従う
・「こなす」「回す」という感覚
「一つひとつ理解しながら…」では終わりません。機械的にでも先に進めることを意識しました。
・満遍なくやる
科目で言えば民事訴訟法・民事執行法・民事保全法、憲法。分野で言えば会社法・商業登記法の持分会社、一般社団(財団)法人、商法、不動産登記法の信託なども学習すれば点はとれます。得意分野に偏らず、むしろ苦手な箇所こそやれば点につながります。
択一
過去問について
まず解く順番を決めました。後で解くようにした問題の形式は、学説、文章問題、穴埋め、個数問題です。要するに、先にそれ以外の問題に時間をかけずに済ますことで、問題文が長いまたは肢の全部もしくは大部分を読まなければ答えが出せない問題を焦らず余裕をもって解くことができるように時間を作りました。問題を解いた後も解説を見ずに、分からなければテキストから根拠を探すようにしていました。検索先の一元化ってやつです。
「なんとなく○だろう」はダメです。時間を意識するあまり、5 肢中の2、3
肢まで読んだ時点で「正解っぽいな」と判断してしまう気持ちはわかります。しかし、実は最後まで読めばより確実に判断しやすい肢があることは少なからずありますし、そのことにより一問落とすのはかなり痛いです。また、たとえそれで合っていたとしても練習の段階から根拠づけて解く癖をつけないと、後で苦労します。それは答練や模試で痛感します。あくまで「かもしれない」運転でお願いします。
時間配分は、試験の午前科目は3 分以内/問で解き、午後科目は2分以内/問で解くように設定しました。また、午後科目についてはより時間が制限されるので「2秒ルール」を設けて解くようにしました。2秒ルールとは、一つの肢につき2
秒考えても正誤の判断基準が思い浮かばなければ次の肢・問題に進むというものです。「前習ったはずなのに」と、こだわりたくなる気持ちはわかりますが、たとえその肢を捨てて3点落としたとしても、次の問題に進み時間に間に合わせて合格する方を優先すべきです。また、後で見直した時に気づくことはありますが、大体その場でパッと思い浮かばなかったことがそのまま考え込んでわかることはないので、単純に自分の勉強不足だと反省し、次に次にと処理していくようにしていました。
記述
早いうちから申請書の雛型を覚え始めた方がよいです。択一の授業と並行して講義で扱った箇所を少しずつ覚えていくことをお薦めします。問題を解き始めるにあたっては、いきなり時間を計るのではなく、まずは目を通す順を決め、その流れを定着させることを徹底しました。そしてそれが自然に身につくようになったら、時間配分を意識するようにしました。
注意事項に時間をかけてはダメです。注意事項(事実関係など別のとこに記載されている場合もある)は、おおざっぱにいえば次の3種類に分けられます。
①大体どの問題にも書いてあるどーでもいいもの
②答えの書き方や考え方に関わる留意すべきもの(「今回はこー書け、こー考えろ」っていう試験官からの注文)
③その問題特有の指摘で、問題を解く上で大きなヒントとなるもの
①を消し、②③を残すことが秒でできるように訓練をした方がよいです。
凡ミスをなくすよう努めました。記述は1点のミスが命取りになります。書き間違え、書き忘れ、読み飛ばしなどをしてしまったら恥じて下さい。私の場合は、同じミスを繰り返さないよう、その都度ノートにミスの内容と対策としての思い出し方を書くようにしていました(以下、「テクニックノート」)。また、個人的には後述するように数字の見直しを特に注意しました。
不登法
「売買を原因とする所有権移転」の書式をまず完璧にした方がよいです。これは、あらゆる申請書のベースとなる雛型です。寝起きの状態でも目的~添付情報まで淀みなく言えるようにした方がよいです。枠ズレ防止対策は必須だと思います。そのための対策として、例えば以下のようなものがあります。
・名変登記の理解
・申請順序や申請件数を意識しながら択一の復習を行うようにする
・数字の見直し:登記番号、持分割合などです。添付情報として「誰の」「何番の」登記識別情報の提供が必要になるのかという点や、更正や抹消の登記があった後に申請する登記の目的の書き間違い(「A持分全部移転」とするところ「所有権移転」と書いてしまう等)を防ぐためです。
商登法
理由づけをより大事にした方がよいです。特に添付書面に関しては、模試や市販の問題集によっては解説がきちんと書かれていないこともあるので、「どのケース」に「何の書面」が「何通いるか」を理解していれば復習に手間がかかりません。(例えば、「株主総会議事録」を添付する場合でも、決議がなければ「株主リスト」はつけないなど。)また、不登法と比べると一つの申請書に書く量が非常に多いですが、登記すべき事項・登記の事由・登録免許税・添付書面はそれぞれつながっているので、手続きの流れが理解できれば長文であっても一気に書けるようになります。
ピンポイントの留意すべき知識:再任と重任の違い。経由申請の可否(例えば、本店移転の登記をする際の新所在地や、吸収分割の登記をする際の分割会社の所在地を管轄する登記所に同時に申請できる登記か否かの判断等)。印鑑証明書の添付(特に、誰の何につける印鑑証明書になるのかの理解や省略の可否)は混乱しやすいと個人的に感じました。自分なりの言葉で整理できるようにした方がよいです。
数字の見直し:添付書面の通数、役員等の就任・退任年月日、役員等の員数など。添付書面の通数は、間違えても減点が少ないと言われているのでまだマシかもしれません。しかし、役員がらみの数字につきましては例えば、「権利義務を有する者」に該当するか否かの判断が必要になることがあり、また「兼任禁止規定」などの問をまたがる論点となり崩壊しかねないので、特に慎重に確認するようにしていました。とにかく時間内に最後まで書ききることが大切です。不登法と違い枠ズレの心配がなく、最悪の場合時間がなければ申請できそうなものを全部書いちゃってもある程度点が取れるそうです。逆に時間切れが一番ダメだし悔いが残ります。
本試験当日
科目の解く順と後回しにする問題は以下のとおりあらかじめ決めていたので、それに従って解きました。
科目の解く順
午前:①会社法②民法③憲法④刑法
午後:択一①民事訴訟法・民事執行法・民事保全法②供託法・司法書士法③商業登記法④不動産登記法
記述①不動産登記法②商業登記法
※後回しにする問題は前記『私のとった勉強法/択一/過去問について』のとおり。
後で見返したときは難なく解けたが、その場では肢の論点すらわからずに間違えた問題が民法で2 問、憲法で1問ありました。振り返ってみればやはり緊張していたのだなと思いました。また、択一については、午前午後それぞれ答練や模試で大体取れている点数引く2問くらいかなと予め見積もっていました。しかし実際は、午前がさらに予想引く1問だったので焦りました。
午前科目の後半ぐらいの時間に、同じ教室内で苛立った受験生がシャウトし机を叩きつけるというハプニングがありました。本試験の会場は独特の緊張感があり、それゆえ様々なことが想定されるので、普段自宅で学習されている方も一度は模試等で会場を経験した方がよいです。ちなみに私は、「今の衝撃で緊張がほぐれたな」と前向きに捉えることができ、また「たぶんこれで落ち着いているのは俺ぐらいだな」と根拠のない自信につなげることができました。
試験開始直前と午前と午後の合間のルーティンは、模試や年度別過去問を解く際に次のように決めていたので、本番でもそうしました。
直前:①テクニックノートを見る②答練・模試を解く度に書いていた問題の解き方の反省と対策(以下、「議事録」)を読む③会社法のテキストを1 コマ分読む。
合間:①20分前後のラジオを聴きながらご飯を食べる②テクニックノート・議事録を読む③テキストの民事保全法のページを読む
午後科目は、記述の不動産登記法を終えた時点で残り45分になっていました。しかし、不動産登記法を解いている時も「45分ありゃいけるな」となぜか思い、商業登記法も普段通り飛ばすことなく解きました。結果、5分余ったので見直しに時間を費やすことができました。
最後に
勉強するだけ勉強したら、後はハッタリが大切です。不安な箇所があろうがとにかく受かればOKなので、その日は自分の日だと思い、セール時のおばちゃんよろしく厚かましくも合格というターゲットを奪い取ってきて下さい。実際のところ私も、試験当日は午後から急に土砂降りとなり雨に濡れながら帰ることとなりましたが、「これは祝福の雨だな。受かった…」と何の根拠もなく思いました。
おすすめの本・曲
・「ヒクソン・グレイシー 無敗の法則」ヒクソン・グレイシー著、ダイヤモンド社、2010.9
心の持ち方を自分でコントロールすることの大切さを教えてくれる本です。実際私の場合は、学習期間中は父親から度重なる嫌がらせを受け続けていましたが、そこでの怒りや悔しさをエネルギーとして利用することで学習を進めていた事実もあります。司法書士試験の勉強にあたっては、学習した知識の整理と同様に、「自分で何とかできること」と「自分ではどうしようもないこと」に分ける心の整理も必要だと思いました。
・"AMBITIOUS JAPAN!" TOKIO
言わずと知れた「新幹線の歌」です。メロディーもさることながら、歌詞も非常に前向きなところが特徴です。お気に入りの歌詞は「I get a true
love」というところです。「なんか気分が乗らないな…」と感じた瞬間に本意気で歌うと、一気にモチベーションが上がります。屋内で発動すると十中八九白い目で見られますが、屋外ではまれにフラッシュモブのような一体感が生まれ、世界が一つになります。
学生から社会人へ。環境の変化がありながらも隙間時間を精一杯活用して一発合格!
K.N さん
はじめに
■他資格受験歴
平成26年度行政書士試験合格
■司法書士試験学習歴
平成26年秋に平成27年度合格を目指す松本基礎講座全科目DVDを申込み~平成29年3月までにすべてのDVD視聴を終える(平成27年春まで学生,同年4月以降は平日9時-18時勤務の兼業受験生)
■司法書士の受験を決意した経緯,合格までの受験状況
法学とは異なる分野に進学していましたが,就職前に平成26年秋の行政書士試験を受験。その後,関連資格を調べているなかで「司法書士」という資格を知り,ダブルライセンスを目指そうと思うようになりました。そして,平成26年の秋に(平成27年度合格を目指す)「リアリスティック一発合格松本基礎講座」を申し込みました。しかし,平成27年の春に就職して勉強時間が確保できず,結局DVDをすべて視聴し終えたのは平成29年の3月でした。松本先生にも相談に乗っていただき,隙間時間を精一杯活用して,何とか合格点までもっていくことができました。
私のとった勉強方法
平成26年の秋に(平成27年度合格を目指す)「松本基礎講座(全科目,DVD)」を申し込みました。しかし,平成27年の春に就職したため勉強時間を確保できず,また勉強する意欲もわかなかったため,パンフレットどおりのスケジュールで進めることができず,平成29年3月までの長期計画で一通り全科目のDVDを視聴し終えました。そして,4月~本試験にかけては,追っかけ復習,記述式演習(過去問+授業でやった問題),択一過去問解き直し,音声学習,本試験前に辰已と某予備校の出題予想会を視聴などで追い込みをかけました。
〈択一対策〉
■全体を通して
テキストを勉強の中心に据え,DVDで理解した後は授業で指定された過去問を1回解き,テキストに戻って復習するという勉強方法でした。
■平成28年10月まで
民法と不登法の途中まではDVDの視聴+1回目の指定過去問演習(これも民法と不登法の途中まで)を終えていたので,出勤前や昼休みなどの隙間時間を使って,テキストの読み直し(追っかけ復習)を行っていました。
■平成28年10月から平成29年3月まで
この半年間で残っていた科目のDVDを一気に視聴しました。とはいっても,平日は仕事がありましたので,だいたい土曜日に1コマ,日曜日に1コマのDVD視聴というペースでした。ただ,絶対に平成29年度の本試験で合格したいと考えていたので,松本先生のおっしゃる「ノルマ達成の発想」を意識し,自分で勉強計画表をエクセルで作成し,印刷して壁に貼り,チェックをつけていくことで,ずれが生じながらも何とか視聴し終えました。また,計画を立てた際には,新たなDVD視聴から2か月以内にその部分のテキストページを3~5回読み直すようにしました。できなかった範囲もありましたが,できた場合は計画表にチェックするようにしていたので,多くの部分で達成できました。DVD視聴日に指定過去問も解き,その日のうちにテキストに過去問番号を書き込むのも終えられるように努めていました。
■平成28年10月から本試験直前まで
上記の期間に重なる形で,追っかけ復習を仕切り直しで再スタート。平成28年10月から平成29年4月中旬までに,民法,不登法,会社法・商登法を3 周,またその間の平成29年1月末~2月中旬に民訴・民執・民保を1周,平成29年4月中旬から6月下旬までに全科目のテキストを3周しました。その後,本試験前に全科目を1周(丸暗記),本試験直前にも全科目を1周(緑の知識)しました。
※「緑の知識」とは松本先生の売りになっている知識のことで,緑のボールペンで書き込みをしているのでそう呼ばれます。
※読み方,1ページを読むスピードは同じではありません。読むべきノルマを決めたうえで,何秒で1ページを読めば大丈夫そうかを計算して計画を立てました。ただ,あくまでも「予定」であり,その時間を超えてしまうことも多々ありました。
※もっと追っかけ復習をすべきだったと反省しています。
また,上記の追っかけ復習のほかに,4月から本試験までの間に,過去問(松本先生が授業で指定してくださった過去問)を解き直しました。そのときに間違えた問題はさらにもう一度解きました(おそらく全部で1800問を超える程度の数を4月以降に解いたと思います)。
〈記述対策〉
■平成29年3月まで
記述式の講義も含んだ講座であり,かつ,全科目を受けていたので特典として「申請例音声データ」入りのMP3プレイヤーをいただいていました。そのため,記述対策は配布された資料,松本先生の記述式の解法本,問題冊子,講義DVD,音声学習(シャドウイング)をメインに進めました。
音声学習(シャドウイング)については,辰已ホームページやガイダンス映像などで紹介されていると思いますが,申請書の記載例を音読した音声データを聞いて,それを自分で声に出すという学習方法です。慣れてくると,音声データを聞く前から自分で記載例を言うことができるようになり,大変助かりました。主に通勤時や買い物に行くときなど,歩いているときに行いました。
申請例10個弱分ぐらいがだいたい15分前後だったので,それを1回分として自分で範囲を決めました。勉強記録が平成28年10月からしかないので,それ以前は不明ですが,平成28年10月から翌29年1 月ぐらいまではだいたい1 日に3~4
回繰り返して聞き,声に出しました。2月以降はそこまで行いませんでしたが,1日に1回は行うように努めていました。また,記述の勉強をどの時期に行うかについてですが,元々パンフレットにあったスケジュールに倣いました。パンフレットのスケジュールでは会社法・商業登記法の講義を受けている時期に,不登法の記述の講義を挟み込むスタイルでしたので,それに倣って私も進めました(1コマの中で択一の講義と記述の講義を混ぜているわけではありません)。同じように商登法記述の講義も,いわゆるマイナー科目といわれる講義の時期に,挟み込むスタイルでした。
■平成29年3月中旬~5月の初め
この時期に,確か不登法記述H11~,商登法記述H18~の過去問を1日1題交互に解いていきました。同時に,音声学習は1回分の範囲を15分程度と決めて,隙間時間で繰り返すようにしていました。
■平成29年5月~本試験直前まで
この時期は,再度記述式の講義で扱った問題を解き直すという勉強を行いました。そして,間違えた箇所については,ワードにメモしていくようにしました。音声学習も行っていました。
インプット―松本基礎講座のメリット
受講していてよかったことは次の通りです。
理由づけが豊富で,自分の勉強スタイルと合っていた。
※人によっては,理由付けが多いと逆に覚えにくいという方もいらっしゃるかもしれませんが,私は理由付けが豊富なほうが理解しやすかったので助かりました。どこが重要なのか,どこを覚えるべきなのかがわかりやすく提示され,テキストに書き込む色を使い分けることで,復習する際に自分の頭でもう一度論理を組み立てやすかった。
※ここは結論,記憶すべき事項,ここは理由,ここは応用可能な知識,などと分けられたおかげで,メリハリのある復習をすることができました。
申請例の音声学習を行うことができた。
※このおかげで,実際に問題を解くとき以外は,ほとんど申請書を手書きすることはありませんでした。「発音できれば,あとは漢字にするだけ」という松本先生の言うとおりだと思いました。
受講期間が終わっているのに,勉強計画を松本先生に見ていただいて,助言を受けることができた。
※受講生向けに,直前期の勉強計画をまとめた資料をいただいていたので,パンフレットのスケジュールとそれとを合わせて参照し,自分なりにまとめた勉強計画を松本先生に送り,見ていただきました。講座専用ブログが開設されており,過去問で問われる知識がテキストのどこに出てくるのかを照合する作業がしやすかった。
※正直に言えば,過去問とテキストを照合する作業は本当に大変でした。ただ,ブログのお蔭で何とか乗り切れました。
全科目を松本先生が担当している。
※一貫した勉強方法と試験への向き合い方を松本先生がたびたび講義中にお話ししてくださったおかげで,自分の軸がぶれることなく試験に臨めたと思います。
松本先生特製の記述の採点基準を推測するレポートをいただけた。
※自分が受ける年も同じように採点されるかはわからないものの,これまでの傾向を知ることができるのは精神的にもメリットですし,受験の戦略上も有意義だと思います。
※講座専用ブログでは質問も行えますし,松本先生からのご回答も早いので,これもメリットです。しかし,私はエンジンがかかるのが遅かったので,テキストの内容に疑問に思った時点で既に質問受付期間が終了しており,法律関係の質問は松本先生にしませんでした。ただ,メリットであることに変わりはないので,一応挙げておきます。
アウトプット―松本基礎講座のメリット
受講していてよかったと思う点を,アウトプットの観点で考えると次の通りです。
テキストでアウトプットするという考え方を知った。
※松本先生は,テキストでアウトプットするという考え方を強くおっしゃっており,私も「確かに」と思ったので,アウトプット用の講座は受講していません(辰已と某予備校の模試は受けました)。「松本先生のやり方どおり完璧に」とはできませんでしたが,テキストを読み込み,咀嚼して,思い出しながら読み進めていくという意識を持てたことは大きかったと思います。テキストを復習すれば,過去問で狙われたところを確認できると同時に,まだ問われていない知識で覚えるべき知識もわかりますので,問題演習を繰り返すのではなく,テキストを読み込むほうに重きを置きました。
手を広げさせないようにしてくれる。
※ついつい「あれもやったほうがいいか」と思いがちですが,直前期の過ごし方の資料を読んだり,松本先生のアウトプットへの考え方に触れたりすることにより,他の教材に対しては一定のブレーキをかけて,目の前の教材を最大限活用する方向に進むことができました。
ミスを減らす記述対策
※記述式の問題冊子の注意書きの処理方法をはじめ,定型的な作業を短い時間でいかに行い,問題読解の方に時間を割けるようにするかということを隅々まで考えてくださっていて,初めて記述式に触れた時から「役に立つ気がする!」と思わせてくださいました。
受けるべき模試を教えてくださる。
※1校だけの模試では偏りが出るため,どの予備校の模試を受けるといいかということを教えてくださいました。私は答練を受ける時間を作れなかったので,本格的なアウトプットというのは模試(と過去問演習)しかなかったのですが,どの模試を受けるべきかまで教えてくださり,助かりました。また,これは講座の話ではないですが,私は辰已のモーニングシャワーに登録して,毎朝メールで来る3つの○×問題をアウトプットの一環に位置付けていました(もう1つ別の予備校のメール配信も登録していました)。
最後に
勉強計画を立て直した平成28年10月から本試験までは,本当に集中して勉強したと思います。しかし,それは単に資格を取りたいという気持ちだけでは成しえませんでした。
新入社員だったため,講座の受講料は一括では支払えず,月々1万円弱ずつ支払うローン形式でした。もし平成29年に合格できなければ,使っているテキストが古くなり,さらに,民法改正も考えると,買い直さなければならなくなってしまうのではないかと思われ,気合が入りました。
大学時代の奨学金も返済が始まっていたので,絶対にこれ以上出費を増やしたくありませんでした。講義や過去問を消化するだけでも大変で,一日の仕事以外の時間をほぼ勉強に当てていたため,自分もいやになるほどでしたが,周りにも相当な迷惑をかけていました。もう1年同じ迷惑をかけることは考えられませんでした。また,自分ももう1年同じ生活ができる自信がなかったので,気合が入りました。日中働いて,隙間時間に勉強して,帰宅して炊事して,休日も早く起きて勉強して,掃除,洗濯をして,買い物に行って,それ以外は勉強して…という生活スタイルは,規則正しいかもしれませんが,自分の時間はほぼ取れず,本当にうんざりでした。
直前期は,帰宅後の夕食をとる際にもニュースは見ずに,苦手意識のあった分野の講義DVDを流すという生活でした。早く普通のテレビが見たい,と思っていました。
きつきつのスケジュールだったため,風邪をひかないように本当に注意しました。外出先から帰ったら手洗いうがいを欠かさないように心がけ,インフルエンザの時期前には予防接種をしました。
このように,プラスの感情ばかりで勉強を続けたわけではありません。もちろん,司法書士として活躍したいというプラスの感情から勉強への動機を起こすこともありましたが,「~したくないから」という方向から勉強に取り掛かることも多くありました。それが現実だと思います。どちらも受け入れて,勉強への動機に変えて,勉強を積み重ねていけばいいと考えて取り組めば大丈夫だと思います。
J.Tさん
受験開始
「司法書士」、学生時代からその存在は知っていましたがその合格率の低さや広範な試験範囲から漠然と「中途半端な状態で学習を開始しても合格レベルに達する事は無いだろう。」と学習開始は敬遠しておりました。
しかし大学卒業後実社会での日々の中で法律知識の重要さを知ると共に商法・会社法については全資格試験中最高レベルの知識が求められビジネスの現場とも親和性の高いこの資格に非常に大きな魅力を感じ、平成26年度試験の受験を決意しました。
とは言え学生時代のように勉強に集中出来る環境を作り出し、法律初学者かつ兼業の受験生が一年間で合格レベルまでに到達するには一定程度の工夫が必要でした。
以下具体的な施策と学習方法について記載して行きます。
平日で6時間、休日では10時間くらいの勉強時間は確保していました。ただし後述するように勉強時間ではなく勉強量にノルマ設定していたため時計を気にしながら学習する感覚はありませんでした。
そして学習開始当初かなり意識的に行ったのは勉強時間確保のために「やらない事を決める作業」です。受験勉強においては「何をするか」も重要ですが、この「何をしないか」について徹底的に考え抜いた事も私が1年で合格出来た大きな要因だと思います。まずテレビ、ゲーム、SNS
などの浪費時間をゼロにし、知人、友人からの単純な遊びの誘いはほぼ全て断りました。これにより勉強に割く事が出来る可処分時間が飛躍的に向上しました。また食後眠くなったりしないように重い食事や飲酒も極力避け、常に身体のパフォーマンスに気を配る事で時間対効果の改善にも取り組みました。食事の内容等ついてもかなり拘りましたがそれについては細かく書いていると長くなりますので割愛致します。また食事中もスマホやPC、DVDで講義やガイダンスの動画を見るようにし、移動中は音声学習で条文・申請書の定着を行う事でただ消費してしまう時間もゼロに近付けるように意識しておりました。このように常に学習に触れている事でオンオフの切替に要する時間も少なくなり、机に向かって集中する迄に時間を要する事もほぼ無かったように思います。
辰已法律研究所にて松本先生の基礎講座受講開始
司法書士の学習を開始すると決めてすぐに辰已の門を叩き松本先生の開講前ガイダンスに出席、その後すぐに受講を開始しました。学習スタイルとしては通学で講義に出席し、その後は講義範囲(テキスト30〜40ページ程度)の3回の復習、指定の過去問、次回講義範囲の予習をノルマに設定し、次回講義までにこなす事を徹底して行いました。ちなみに復習の際は知識をテキスト上で一問一答のような形でアウトプット(例えば「民法132条不法な条件を付した法律行為は無効とする」まで読んだら「不法な行為をしないことを条件とするものも同様とする」をアウトプット。「買戻特約の登記の添付書面」まで読んだら「登記原因証明と代理権限証明情報」をアウトプット。)しながら読み進める方法で行いました。過去問よりも抽象度の高いテキスト上でアウトプットが出来るようになれば問題形式を問わず知識を引き出し易くなります。
以上をこなしていれば法律初学者の私であっても論点すべてを暗記してはいないものの理解出来ないと言う感覚になった事は殆どなく、毎回新しい知識を得る感覚にやみつきになり講義のある木曜と日曜を心待ちにする日々でした。
そして学習開始後2ヶ月後のお試し受験では午前民法の学習済範囲内の知識で解答可能な11問中10問正解。(失点した1問についてもイージーミス)この事実が合格への大きな確信となり、教材と学習法にも自信が持てました。この感覚を得てからは講義テキスト、過去問、六法、講座専用ブログ以外の情報源はシャットアウトし「この講座だけを完璧にする」と言う思考に切り替えました。
勉強量増加の壁
秋から講義が週2コマから3コマになると実質勉強量が1.5
倍になり一気に余裕はなくなります、得意になっていた民法についても知識が抜け落ちてゆくのを感じ焦燥感も募る日々に。しかし冒頭のノルマだけはこなして行こうと考え、焦りの中でも機械的にノルマだけはこなしておりました。この頃になると勉強が深夜朝方近くに及ぶ事が普通になり冗談は抜きで週に一度程度発熱していたと記憶しています。学習開始以前の腑抜けていた生活のツケを感じました。
しかしその期間を乗り越えれば自身の学習スピードも向上し、講義と同時並行で他科目を復習する余裕も出来はじめます。記述式も答案構成には最初苦労しましたが申請書に関してはテキスト上のアウトプットと音声学習シャドウィングが抜群の効果を発揮し基本的申請例雛形は苦なく記憶してしまうので、主に必要な登記を正確な順序で申請する事に集中力を注ぐ事で正答率も向上し、苦手意識も解消されました。商業登記法に関しても言えることですが記述で既出の論点を潰してゆくと択一論点の理解に要する負担が軽くなりますので記述式の醍醐味である知識を使いこなしがら体得して行く感覚を楽しみながら学習するのが大切だと思います。
枠ズレ• 時間切れについて
「枠ズレ」、不動産登記法記述式試験に関するこの言葉をご存知の方もいらっしゃるかと思いますが「必要な登記を抜かすor不要な登記を入れる事によりその後の申請書すべてが採点されなくなる事(例外もあるようですが)」です。ほとんどの場合これだけで合否を左右する致命傷になります。「時間切れ」は単純に時間が足りなくなり申請書や解答が書けなくなる事、答えを書けない以上点数は入りませんのでこれも同じく致命傷となります。
しかし個人的に一番良くないと感じたのは「枠ズレを恐れる余りに問題検討中に生まれる漠然とした恐怖感、不安感や時間切れを恐れる事による焦燥感に支配される事」だと思います。これに陥ってしまうと落ち着いてやれば気付ける論点を落としたりします。ちなみに私は時間切れを特に恐れる節がありましたので実力以上の速度(180分間の午後試験で40〜60分余らせたりしていました。)で解いてしまい論点を見落とすと言うスランプに陥りました。本年度本試験でもそれによって問題文を読み飛ばし枠ズレを引き起こすと言う最悪のミスを犯しています。
これを防ぐために日々の択一・記述過去問演習や模試にていつも決まった解法で時間内に解答出来るかを意識的に確認しながらの問題検討を行うのは必須かと思います。
模試
答練は受講せず、模試を3月から6回程受けました。模試ではとにかく時間内(目安は午前択一1問3 分、午後択一1問2分、不動産登記記述式•商業登記記述式各55分)に問題を終わらせる練習、記述式を講義で学んだ手順で回答する練習と割切り、復習は誤った選択肢のみ一応の検討はしましたが問題を何度も解き直したりする事はしませんでした。
得点は6月前半時点でやっと模試の基準点くらい(最終のもので午前26問午後26問)取れるようになったくらいです。ただ受験生の学習は模試のための学習ではなく本試験のための学習ですので模試の点数や順位については深く考慮する必要はないと考えていました。
直前期
4月〜6月は仕事も休み完全に受験勉強だけの生活をしましたが、長い間平日6時間、休日10時間と言う限られた時間内でその日の学習ノルマを終える習慣が染み付いており正直学習量にさほどの変化はありませんでした。ただやはり退路を断つ事による集中力向上はあったと思います。
この時期にはテキストを5回転させ平成の過去問を1回転、模試、年度別の過去問を直近5年分こなしました。直前1週間はテキスト、過去問の不安箇所をとにかく暗記。模試で午後択一不動産登記法の失点が気になったので先生と相談し不動産登記法のみ過去問をもう1回転も追加しました。
2014年度本試験
連日の長時間学習による疲労で本試験の朝も熱が下がらず栄養ドリンクを飲んで受験地早稲田大学へ。自宅から近いので自転車で会場に行きましたが到着時点で息切れする程に体調は悪かったです。しかし人間の気概と言うものは凄いもので試験がはじまると体調はスッと良くなり集中出来ました。
午前択一では時間的には余裕があったものの個数問題が多く、確信を持って解答出来ない問が散見しました。しかし「これは基準点が下がるな」と感じただけで特に焦燥感に襲われる事もなく問題検討出来ました。
午後択一では直前期に不動産登記法を高速一回転したのが効いておりスピーディな問題処理に成功し、残り120分を残してお手洗いに行った後に記述式に着手。記述開始後すぐに不動産登記法の問題文の長さや論点の難しさに面食らいましたが、とにかく60分以内に終わらせて商業登記に取り掛かる事に集中し、「不安箇所は商業登記が終わった後に検討し直せば良い」と割り切って答案を書き上げました。
商業登記は基本的かつ得意な論点が多く落ち着いて解答出来たと思います。もし不動産登記を納得いくまで検討してしまっていれば折角得点源になった商業登記の検討時間が不足してしまったと思いますので前半の判断は正しかったと思います。まさに模試の目的を制限時間内解答に置いていた事が活きた瞬間でした。
筆記試験合格発表
試験後の自己採点では不動産登記法記述式にて問題文終盤の基本論点読み飛ばしによる3欄の枠ズレを筆頭に午前択一でもテキストの知識で取れる問題を4問も落としている事が発覚。合格可能性はゼロではないにせよかなり厳しいものになると覚悟していました。
そして基準点突破を経て、10月1日の筆記試験合格発表日。上述の通り合格の確信があった訳ではありませんでしたが何はともあれ自身の司法書士資格受験の集大成をこの目で確認したいと思い九段下の東京法務局の掲示板へ。人も疎らな法務局前。心の準備も無しに掲示板の前に立つとすぐに自身の番号が目に飛び込んできました。突然現実のものとなった一年間の学習成果を前に突き上げるような嬉しさと信じられない気持ちが入り混じった感覚が身体を突き抜けたのを覚えています。
松本基礎講座での一年間について
私は周囲を巻き込んで司法書士と言う実務家を志し、学習を開始するのであれば資格取得も仕事の一貫、言わば一つのプロジェクトだと考えていました。そして通常のプロジェクトであれば戦略立案に修正•微調整を重ねて初めて日々のルーティンワークに業務を落とし込む事が出来ます。しかし司法書士試験に関しては方法論•学習ツール•知識の取捨選択作業を松本先生が徹底的な研究をしてくれています。私はその武器を使って日々ルーティンワークだけを実行するだけで合格レベルに持ってゆく事が出来ました。仕事と言う観点から考えればこんなに恵まれた環境はあり得ません。方法論の試行錯誤に陥る事なく純粋に学習だけに専念する。そんな贅沢な環境を提供してくれたこの講座には大変感謝しています。
これから司法書士を志す皆様へ
合格率や巷に溢れる情報に惑わされる事なく、ご自身の手応えや感覚を信じて、たった一年間でいいので本気でやり抜いてみて下さい。その皆様の小さな勇気の報いる形で未来は思った以上に大きなプレゼントを小脇に抱えて待っていてくれると思います。
終わりに
末尾となりましたが宝物のような時間を一緒に紡いで頂いた松本雅典先生、松本基礎講座受講生の方々、受験を支えてくれた親族、知人に心より御礼を申し上げます。最後まで読了頂き有難うございました、この体験記が少しでも皆様のお役に立てれば幸いでございます。