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司法書士試験講師の松本です。『リアリスティック民法』には,私が講義を行うにあたって考え調べた理由付けや思い出し方を入れられるものはすべて入れました。それは,債権法改正・相続法改正についても同じです。試験当日に勉強してきた知識を思い出すには,「きっかけ」が必要です。そのきっかけとなるのが,理由付けや思い出し方です。これらを武器にして,最短ルートで合格を果たしてください。
自分の知識にできなければ意味がありませんので,掲載する知識は多くしすぎないようにしました。しかし,それで知識不足になってしまっては仕方ないので,少なすぎる情報量でもありません。受験界の中では,情報量は「真ん中」あたりに位置するかと思います。
法律は「理解」を伴う学習でなければなりません。表面的に知っているだけでなく,「わかる」になっていないと,問題は解けません。「わかる」の語源は「分ける」だといわれています。たとえば,ある知識を示されて,「この知識は代理の要件である顕名のハナシ,この知識は無権代理人の責任追及の要件のハナシ」ということができれば,ほとんど理解できているといっていいでしょう。そこで,体系だった学習ができるように,見出し・小見出しのつけ方にかなり気を配りました。見出し・小見出しは,知識を入れるボックスです。このテキストの見出し・小見出しが,私の頭の中にある民法の知識を入れているボックスであり,みなさんの頭の中に知識の受け皿として作っていただきたいボックスです。
法律は,日常用語と異なる使い方をする用語が多いですし,難しい言い回しも多いです。このテキストでは,初めて法律を学習する方にもわかりやすい表現を心がけました。しかし,これは「正確性」との関係で大変なことでした。わかりやすく言い換えれば,それだけ不正確な表現となってしまうリスクが高くなります。たとえるなら,英語の日本語訳です。英語を日本人にわかりやすく説明したのが日本語訳ですが,日本語に訳す際に意味が変わってしまうリスクがあります。絶対に不正確にならないようにするには,日本語に訳さなければいいのですが,それでは日本語訳になりません。法律も,条文や判例の表現そのままの説明であれば不正確な表現となるリスクはありません。しかし,それは,みなさんがテキストに求めていることではないでしょう。よって,「不正確な表現とならないよう,わかりやすい表現をする」,これに可能な限り挑戦しました。
書籍は,著者という他人が書いた文章を,著者の助けのない中,自分の頭の中で理解しなければなりません。これは,どんな書籍でも同じです。理解しやすい書籍にするには,著者が自分の自由な順で説明するのではなく,ある程度決まったルールに従うべきです。そこで,説明順序は,基本的に「結論」→「理由」の順としています(説明の都合上,先に理由がきてしまっている箇所も少しあります)。
私が毎年講義をする中で調べ,ストックしていった理由付けを,このテキストに記載しました。その数は,相当な数になります。
知識を記載する前に,「共通する視点」「Realistic rule」「判断基準」などを説明している箇所があります。これらは,“複数の知識を思い出すための思い出し方”です。その他にも,いくつもの思い出し方を記載しています。試験でしなければならないことは,「思い出すこと」だからです。思い出し方まで記載していることに,このテキストの特徴があります。
民法の法律関係は,図を描いて理解するのが最も有効です。そこで,可能な限り多くの図を掲載しました。
テキストは,単なる記憶ツールではなく,理解していただくためのツールでもありますので,表を中心に構成してはいません。しかし,比較して記憶したほうが記憶しやすい知識もありますので,そういった箇所は表を適宜掲載しました。
平成29年6月に債権法の改正,平成30年7月に相続法の改正がされました。このテキストは,この2つの改正を反映させています。この2つの改正の改正点については,ページの余白に[改正][新設][明文化]のマークをつけています。 改正前の規定は「旧民法」,改正後の規定は「新民法」と表記しています。なお,条文番号が変わっただけ,2項が加わり「1項」となっただけ,内容の変更がないが条文の表現が改められただけなどの条文についても,「新民法」と表記しています。よって,内容の変更があるかは,[改正][新設][明文化]のマークがついているかで判断してください。また,内容の変更がある箇所については「平成29年に改正されました。」「平成29年の改正で新設されました。」「平成29年の改正で明文化されました。」などと説明しています。なお,平成30年6月に成人年齢についての改正もされています。この改正については,表記を「改正民法」としています。
2020.4.12収録
他の法律系の資格試験においても同様ですが、民法が最も基本であり、最も重要な科目です。司法書士試験においては、午前択一の35問中20問が民法からの出題です。それだけでなく、他の科目を理解する上でも民法の理解は不可欠です。よって、ガイダンスの2回を用いて、民法の全体像をお話します。本講座は民法から始まりますので、本ガイダンスを受講することによって、スムーズに本講座に入っていけます。
2020.4.20収録
リアリスティック導入講義 民法の全体像①に引き続き民法の全体像に関する後半の講義を行います。講座の受講を決めた方は、導入講義を本編の講義の一部ととらえ、民法の全体像①とともに必ず受講してください。
2020.5.3収録
本動画はリアリスティック一発合格松本基礎講座の初回民法1の講義を特別に無料で公開したものです。講座をご検討中の方は、どのような講義なのか体験してみて下さい。
2020年3月13日更新
以下の正誤表をご確認のうえ、ご使用をお願いいたします。
科目 | 該当箇所 | 誤 | 正 | |
民法Ⅰ[総則] | P.241 | 12行目 | ④財産開示手続(新民法148条1項4号) | ④財産開示手続または第三者からの情報取得手続(新民法148条1項4号) |
民法Ⅱ[物権] | P.57 | 13行目 | 物権です。 | 物権」です。 |
P.181 | 下から14行目 | 民法414条2項ただし書 |
民執法177条 |
|
民法Ⅲ[債権・親族・相続] | 目次ⅴ | 1行目 | 連帯債務 |
連帯債権・連帯債務 |
P11 | 5.6.9行目 |
1.14%(=1.5%-0.36%) 0.14% 0.36% |
1.2%(=1.5%-0.3%) |
|
P.132 | 8行目 | 担保を移す前または移すのと同時に | 免責的債務引受の前または免責的債務引受と同時に | |
P.197 | 下から10行目 | 消滅した | 履行が不能となった | |
P.442 | 下から7行目 | 養親と | (削除) | |
P.451 | 5~10行目 | (※表外のご案内をご覧ください) |
以下の特別養子縁組の改正に伴い、後記の表の修正をお願いいたします。
可決成立日 | 公布日 | 施行日 | 出題範囲 |
2019年6月7日 | 2019年6月14日 | 2020年4月1日(2019年12月18日の官報で発表) | 2020年度~ |
変更前 | 変更後 |
③養子の年齢 養子は,6歳未満でなければなりません(民法817条の5本文)。6歳以上だと,親が替わったことに気づいてしまうからです(上記②の視点)。 ただし,6歳になる前から養親に監護されていたときは,8歳未満であればOKです(民法817条の5ただし書)。6歳になる前から一緒に暮らしていたのなら,親が替わったことに気づきにくいからです(上記②の視点)。 |
③養子の年齢 養子は,15歳未満でなければなりません(新民法817条の5第1項前段)。 ただし,以下の2つの要件を充たせば,15歳に達した後でも可能です(新民法817条の5第2項)。 ・15歳になる前から養親に監護されていた ・15歳に達するまでに請求をできなかったやむを得ない事由がある ※審判確定時に18歳未満である必要があります(新民法817条の5第1項後段) ※15歳以上だと養子の同意が必要となります(新民法817条の5第3項) 特別養子は,要件が厳格であり,利用できない事例が多数あります。その原因の1つが養子の年齢制限でした。ある程度成長してから虐待を受けて児童養護施設に入った子供などについては,利用できない制度となっていました。こういった事例にも使えるようにするため,令和元年の改正で年齢制限が引き上げられました。 |